アレルギー科

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アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、「増悪・寛解を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義されています。
またアトピー素因とは、「(1)家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれか、あるいは複数の疾患)、または(2)IgE抗体を産生し易い素因」と説明されています。アトピー素因は多数の遺伝子が関係しているのですが、しばしば遺伝します。
アトピー性皮膚炎の患者さんのほとんどは、皮膚表面のバリア機能の弱さを持っています。これも生まれつきのもので遺伝子情報の一つですので、しばしば遺伝します。
アトピー素因と皮膚のバリア機能の弱さがお互いに関連しあってアトピー性皮膚炎を発症します。症状は左右対称に出るかゆみを伴う発疹で、皮膚が乾燥してざらざらすることが多いです。肘や膝の内側のくぼみ、顔、首などによく現れます。
最近、乳児期の湿疹やアトピー性皮膚炎により、食物やダニなどのアレルゲンが破れた皮膚の隙間から入り込み、皮膚の中で感作を起こし食物などに対するアレルギーを引き起こす(経皮感作)ことが分かってきました。
新生児期からの念入りなスキンケア、湿疹に対しては早期治療を行うことで、食物アレルギーが予防できることが期待されています。
アトピー性皮膚炎の治療の原則は、ストレス寝不足、汗やほこりなどの悪化因子を断ち、環境の整備を行い、そして毎日根気よく皮膚バリアを補充するための保湿薬を塗ります。湿疹に対してはあらゆる手段を用いて早期に寛解させることを目指し、さらに、いったん良くなったあともその状態を保つため、医師と二人三脚で治療を続けます。アトピー素因や皮膚のバリアの弱さといった遺伝子情報は書き換えられません。ですが、お薬を使って良い状態を維持することで、日常生活ではアトピーのことを忘れているくらいまで行くのが最終目標です。

★アトピー性皮膚炎の新しい治療薬について

アトピー性皮膚炎は、スキンケアとステロイド薬の外用、環境整備(ストレスや寝不足、汗やダニ対策など)によって長らく治療が行われてきましたが、近年、プロトピック軟膏(体の過剰な免疫を抑える働きのある、ステロイドとは全く違うお薬。ステロイドより分子量が大きいので、治った皮膚の部分にはお薬が入らないようになっています。従ってリスクが少なく長期使用しやすい。)をはじめとした新しいお薬が次々と使用可能になりました。

オルミエント 内服JAK阻害薬
  細胞内の免疫活性化シグナル伝達に重要な役割を果たすヤヌスキナーゼ(JAK)に対する阻害作用を示し、免疫反応の過剰な活性化を抑制することでアトピー性皮膚炎を改善する薬剤。オルミエントはJAK1とJAK2を特に強く阻害します。経口投与で服用します。当院では行っておりません。
リンヴォック 内服JAK阻害薬
  リンヴォックはJAK1を選択的に阻害します。1日1回の経口投与で服用します。体重40Kg以上で12歳以上が適応です。

※内服LAK阻害薬はいずれも関節リウマチの治療で先行して使用されており副作用は既知のものとなりますが、投与開始前と投与後も、定期的な採血によって安全性を確認しなければいけません。
デュピクセント 注射用生物学的製剤
バイオテクノロジーで作られた、アトピー性皮膚炎の悪化に関与するIL-4とIL-13を直接抑える働きを持つ生物学的製剤。2週間に1回自己注射します。リスクは少なく、投与前や投与中の採血の必要はありません。とはいっても、注射部位の痒みや結膜炎などが副作用として知られており、一定の注意を払いながら使用しなくてはいけません。16歳以上が適応です。
①~③いずれも毎月20000円程度の医療費(3割負担の方)がかかります。小学生~高校生は八尾市の乳児医療が使用可能です。
コレクチム軟膏 外用JAK阻害薬

2020年6月に発売され他外用薬です。2021年3月に2歳以上の小児への使用も承認されました。
アトピー性皮膚炎の悪化に関係するサイトカイン(炎症性化学物質。インターロイキン-4、13、31など)が、免疫細胞や神経にある「受容体」という受け皿に付くと、化学物質の伝達経路が活性化され、炎症やかゆみを引き起こします。
コレクチム軟膏は、皮膚から浸透し、細胞内のJAK経路から伝達される炎症を引き起こすシグナルをブロックすることで、皮膚の炎症やかゆみを抑え、アトピー性皮膚炎を改善します。特に痒みを抑える作用が優れていると言われています、
ステロイドとは違うお薬なので、目の周りや陰部などの、ステロイドの副作用が出やすい部位にも塗ることができます。副作用も少ないのですが、授乳中や妊娠中の方は医師にご相談ください。また塗布部位に、ニキビが出ることがあります。その際は使用を一時お休みします。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、ハウスダストやダニ、花粉など体にとっては異物である抗原(アレルゲン)を鼻の粘膜から吸入することによって体の中に抗体ができ、何度か抗原を吸入しているうちに抗体が増え、やがてアレルギー症状が起こってくる病気です。喘息との関連もあります。 アレルギー性鼻炎には、通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎とがあります。通年性アレルギー性鼻炎のアレルゲンは、ハウスダストやダニ、ペットの毛、カビ、などで、一年中症状があります。もう1つの季節性アレルギー性のアレルゲンは、スギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉で、花粉症とも呼ばれます。花粉症の場合、目のかゆみ、涙目など目の症状を伴う場合が少なくありません。
当院では、既存治療で効果不十分な重症の季節性アレルギー性鼻炎(スギ花粉症)の患者さんにオマリズマブ(ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤。商品名ゾレア)による治療を行っています。保険適応ですが、医師による診察の上、必要と判断された12歳以上の方が対象となります。医師による注射での治療となります。 対象や自己負担額の目安については医師までお問い合わせください。

アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法

この治療は、スギ花粉やダニ抗原の舌下投与(口の中、舌の下に投与し、2分おいて飲み込む)を続けることで、花粉症やアレルギー性鼻炎の症状を弱めて楽にする治療法です。
方法は、日にちをかけて(スギ花粉:2週間、ダニ:1週間)抗原を増量し、その後、毎日同じ量の抗原を飲み続けます。期間は2年以上が好ましいとされています。12歳以上の方が適応で、治療前に、医師の診察(問診、必要な方には血液検査)を行い、医師が適応と認めた場合にのみ、治療可能となります。
※スギ花粉症の治療は、花粉飛散終了後(6月ごろ)から12月までの間に開始します(花粉飛散時期は治療は開始できません)。ダニアレルギーの治療は時期を問いません。
治療を希望される方は、まずは医師の診察の予約をお取りください。

アドレナリン自己注射薬

アドレナリン自己注射薬とは、ハチ毒、薬剤、食物などによりアナフィラキシーの症状を起こす可能性のある方が、前駆症状が出現した時点でお薬を自己注射することで、より重篤なショック症状を抑えるためのお薬です。
このお薬は、一時的に症状の進行を抑えるお薬ですので、使用後は直ちに救急病院等を受診していただく必要があります。
またこのお薬は1年の使用期限があり、1年を過ぎると新しいお薬に交換(交換には医師の処方が必要)しなくてはいけません。

当院では、2021年7月より、アレルギー検査機器「ドロップスクリーン」を採用しています。

この機器は
・一度に41種類のアレルギー検査ができる。
・指先からの血液1滴の採血で検査可能。注射による採血が不要なので小さいお子様にも負担が少ない。
・これまでは検査結果が出るまでに1週間近く要していたところ、約30分後に結果がわかる。

という特徴を備えており、小さいお子様を持つ保護者の方に大変好評を得ています。

1日に施行可能な検査回数が限られていますので、検査希望の方は、受付までお電話くださいますようお願いいたします。

花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)

PFASは、花粉症に合併する疾患です。花粉に感作した人が原因となる花粉と関連する食品(果物・野菜等)を食べた直後に、唇・口・のどなどにイガイガ感やかゆみ・腫れなどアレルギー症状を引き起こします。
PFASは、口周辺のアレルギー症状のためOAS(口腔アレルギー症候群)とも呼ばれます。いまや3人に1人が持つといわれ、国民病となった花粉症の低年齢化・増加傾向により、PFASも低年齢化・増加傾向にあります。

<PFASはなぜ起こるの?>

花粉症の原因物質と似た物質が果物等の食物に含まれているからと言われています。

<PFASはどんな症状?>

イネ科、シラカンバ、ハンノキ花粉症の人が果物を食べると、直後から口の中や耳の奥がかゆくなったり、のどがイガイガしたり、唇や口の中が腫れたりします。最近になり、不安感や呼吸困難感などの比較的重症の全身症状が現れることも分かってきました。PFASの原因となる花粉症原因となる花粉によってPFASを引き起こす原因食物は異なります。詳しくは医師にご相談ください。

<PFASの対策ポイントは?>

花粉症の特定が治療の第一歩です。血液検査などで花粉症を特定したら、まずは花粉症対策を行います。鼻に入る花粉の量を減らすことは治療の第一歩です。PFASの症状は、花粉の飛散期に強い出やすいため、花粉情報に注意し、飛散の多い時期は、窓を閉め、外出時にマスク、メガネを着用し、洗濯物はなるべく室内で干すか、外で干した場合は良くはたいて取り込みます。
またPFASの原因と診断された食物の生食は避ける、食物を加熱する(ジャム・煮物など加熱すれば症状が出にくくなります)などの対策をすることができます。
しかし、残念ながらPFASはいったん発症すると、症状が良くなることはないと言われています。原因花粉に対する減感作療法(アレルゲンを注射または経口で取り込むことによって体を慣らす治療)も、今のところはありません。注射による減感作療法を行っている病院もありますが、まだまだメジャーな治療法とは言いにくいです。症状の強い人、呼吸苦の出る人、不安感のある人は、症状出現時に頓服薬を使用(内服薬・注射薬など)することで症状を軽減させることができますので、医師にご相談ください。

出典:環境省「花粉症マニュアル2019」
   日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会「アレルギー性鼻炎ガイド2021年版」